この記事でわかること
- 電話は使えるのに、事業所のインターネットだけ使えなくなった現場事例
- ONU・OG810Xi・SA-W2・Decoがある構成を上流から切り分けた流れ
- SA-W2を迂回し、正式保守までの応急復旧を行った方法
- 法人ネットワークで設定変更前に確認したいポイント
埼玉県入間市の事業所から、「それまで使えていたインターネットが急につながらなくなった」とご相談を受けました。
電話は正常に使えていましたが、パソコンやWi-Fi側からインターネットへ出られない状態です。現場にはONUや一般的なWi-Fiルーターだけでなく、NTTのOG810Xi、リコー系サービスで管理されている可能性があるSA-W2、TP-Link Deco 6E、NAS、ビジネスフォン設備がありました。
今回は、電話を止めないよう触る範囲を限定しながら配線とランプを上流から確認し、SA-W2を迂回する形でインターネットを応急復旧しました。
なお、この記事は現場で確認できた範囲を記録した事例です。SA-W2の正式な故障診断や交換判断は、契約先・保守担当者の確認が必要です。
今回の切り分けの流れ
- 事業所全体でインターネットが使えないことを確認
- 電話は正常に使えていることを確認
- 契約先・プロバイダーがすぐには分からない状態から書類を確認
- ONUから下流へ配線と機器を確認
- OG810XiにPPPoE設定がなく、PPPランプも消灯していることを確認
- 配線を追い、元構成がSA-W2を経由していることを確認
- SA-W2配下で正常にIPアドレスを取得できないことを確認
- SA-W2の管理画面へアクセスできないことを確認
- SA-W2のEthernetポートでリンク異常を確認
- リコー受付窓口へ契約状態を確認
- 契約方式がIPv4 PPPoEであることを確認
- OG810Xiへ既存のPPPoE情報を設定
- PPPランプ点灯とインターネット接続成功を確認
- SA-W2を通信経路から迂回
- Deco、社内LAN、NASの復旧を確認
- 電話が継続して使えることを確認
- SA-W2の状況をリコー側の対応履歴へ引き継ぎ
- 連休明けの正式担当者による確認を手配
ご相談内容
16時頃に電話があり、約20分前から急にインターネットが使えなくなったとのことでした。
一方で、ビジネスフォンは利用できていました。電話とインターネットが同じ光回線周辺の機器を使っていても、通る経路や設定が同じとは限りません。そのため「電話が使えるから回線機器はすべて正常」とは判断せず、電話系とネット側を分けて確認する必要がありました。
もう一つの難しさは、お客様側で契約しているプロバイダーや回線サービスが分からず、書類もすぐには見つからなかったことです。未納、契約停止、PPPoE認証エラー、回線障害、ONUやルーターの故障など、複数の可能性を残した状態で現地確認を始めました。
現地で確認したネットワーク構成
現地で確認した主な機器は次のとおりです。
- ONU
- NTT Netcommunity OG810Xi
- SA-W2
- TP-Link Deco 6EメッシュWi-Fi(AXE5400クラス表記)
- TP-Link Hub
- BUFFALO NAS(ネットワークHDD)
- ビジネスフォン主装置
BUFFALOの機器はルーターではなく、社内データを保存するNASでした。また、AXE5400は別の機器名ではなく、Deco 6E側の性能クラス表記として整理しています。
障害発生時は、概念的に次の構成でした。
ビジネスフォン系はOG810Xiから別系統ですが、内部構成は未確認で、今回の作業対象外です。
ONUとOG810Xiの状態を確認
ONUは、光回線・認証・UNI・電源などのランプを見る限り、大きな異常は確認できませんでした。
OG810Xiは電源、WAN、VoIPなどのランプが点灯し、電話は利用できていました。ただし、今回の契約方式はIPv4 PPPoEであるのに、到着時点ではPPPランプが消灯し、管理画面にもPPPoE接続設定は入っていませんでした。
管理画面には初期値相当の認証情報でアクセスでき、設定状態も初期状態に近く見えました。何らかの理由でOG810Xiが初期化され、以前のPPPoE設定が消えていた可能性は完全には否定できません。
一方で、元々OG810XiにはPPPoE設定を入れず、別の機器や管理構成で接続していた可能性もあります。SA-W2がPPPoEルーター、ブリッジ、または別の管理方式のどれで動いていたかも現場では確認できませんでした。そのため、OG810Xiが初期化されていたとは断定していません。
ここで重要なのは、電話が使えていることと、PPPoEによるインターネット接続が成立していることは別に確認する必要がある点です。OG810Xi本体が動いているように見えても、インターネットへ出る経路が別機器や別設定に依存していれば、ネットだけ止まることがあります。
SA-W2の通信状態を切り分け
SA-W2ではPow/SMFランプが緑色に点灯していました。一方、SA-W2配下では正常にIPアドレスを取得できず、SA-W2の管理画面にもアクセスできませんでした。Ethernetポート側のリンクランプも正常に上がらない状態を確認しました。
LANケーブルを交換したり、接続先を変えたりしてもリンクが上がらない場面があり、SA-W2の物理ポート故障疑い、またはSA-W2本体側の通信不良疑いを強く持ちました。
ただし、Pow/SMFの状態、ポートLED、ケーブル交換結果だけで故障を確定したわけではありません。SA-W2は管理サービス側の設定や状態確認も関係するため、正式な診断と交換判断は契約先の担当者へ引き継ぎます。
この記事での結論は「SA-W2故障」ではなく、「SA-W2の物理ポート不良、または本体側通信不良が最有力」です。
契約状態をリコーへ確認
現場で契約書類を探し、リコー系の法人向けインターネットサービスが関係していることを確認しました。正式なサービス名は契約書類との一致を確認できていないため、この記事では推測していません。
シルバーウィーク中で通常の担当窓口が動きにくい状況でしたが、接続できた窓口へ連絡し、次の点を確認しました。
- 契約状態に問題がないこと
- 未納や契約失効ではないこと
- 現在のルーター状況
- SA-W2の症状を対応履歴へ残すこと
- 連休明けに正式担当者から連絡を受けること
電話がつながった窓口は技術担当ではなかったため、「この契約では通常SA-W2がPPPoEセッションを確立する」という技術的な確認まではできていません。ネットワーク障害では、現場の機器だけでなく、契約や認証が有効かどうかをサービス提供側へ確認しないと切り分けられない場合があります。
OG810XiでPPPoE接続を確認
今回の契約方式はIPv6 IPoEやv6プラス系ではなく、IPv4 PPPoEでした。ネットワーク内のどこかでPPPoEセッションを確立する必要があります。
既存のPPPoE接続情報をOG810Xiへ設定したところ、PPPランプが点灯し、インターネットへ接続できました。
この確認により、少なくとも作業時点では次が動作していると判断できました。
- フレッツ回線
- ONU
- OG810XiのPPPoE接続機能
- 既存のPPPoE認証情報
- プロバイダー契約
認証情報そのものは、記事・写真・配線図・作業記録へ残していません。
SA-W2を迂回して応急復旧
元の構成は、OG810XiからSA-W2のGE0/PoEへ接続し、SA-W2の0番ポートからTP-Link Deco 6EのLAN3、1番ポートからBUFFALO NASへ分岐していました。TP-Link HubはDeco 6EのLAN1配下です。なお、GE0/PoEがWAN相当かどうかは現場では確認していません。
今回はOG810XiでPPPoE接続を確立し、SA-W2をインターネット経路から完全に迂回しました。OG810Xiのポート1からTP-Link Deco 6Eのポート1へ直接接続し、まずWi-Fiを復旧。Deco 6Eの空きLANポート(ポート2)からTP-Link Hubへ接続し、Hub配下の有線PC群を復旧しました。BUFFALO NASはDecoやHubの下流には置かず、OG810Xiのポート4へ直接接続しています。後日リコー側の保守担当者が元構成へ戻しやすいよう、既存配線を大きく崩さず、差し替え箇所を最小限にしました。
これは正式な修理や恒久構成の確定ではありません。休業期間中に業務を再開するための応急復旧であり、連休明けに保守担当者がSA-W2の状態と今後の正式構成を確認する前提です。
NAS・Wi-Fi・電話への影響を確認
配線変更後は、インターネットにつながったことだけで作業完了とはしませんでした。
- TP-Link Deco 6E側からインターネットへ接続できること
- BUFFALO NASの共有フォルダを正常に開けること
- 電話機能が継続して使えること
TP-Link Hubの先にはPC等の社内LAN機器が接続される構成ですが、個々の端末台数や接続機器までは確認していません。
BUFFALO NASは復旧後にLANケーブルを差し替え、共有フォルダが開けるところまで確認しています。
ビジネスフォン主装置の内部設定には触れていません。電話を止めるリスクを避けるため、既に動作している電話系は対象外とし、ネット側に限定して作業しました。
今回の原因について
現時点で最も疑わしいのは、SA-W2のEthernetポート不良、またはSA-W2本体側の通信不良です。
その理由は、次のとおりです。
- SA-W2のPow/SMFは緑点灯していた
- Ethernetポート側のリンクが正常に上がらなかった
- LANケーブルや接続先を変えてもリンクしない場面があった
- SA-W2を迂回し、OG810XiでPPPoE接続すると通信できた
ただし、SA-W2の設定、管理サービス側の状態、内部ログ、保守診断までは確認していません。そのため、「SA-W2の物理ポート故障疑い」「SA-W2のポート不良疑い」とし、故障確定とは表現しません。
Deco 6Eの赤ランプは、Deco自体の故障ではなく、上流側からインターネット接続が来ていなかった結果である可能性が高いと考えています。これも現場の復旧結果からの推定であり、Deco単体の詳細診断を実施したという意味ではありません。Deco側でPPPoEを設定する選択肢もありましたが、今回は配線を戻しやすく、上流側で接続状態を確認しやすいOG810Xiへ設定しました。
法人ネットワーク障害で注意したいこと
構成が分からないまま初期化しない
法人向けネットワークには、遠隔管理されるルーター、ビジネスフォン、NAS、VPN、固定IPなどが含まれる場合があります。家庭用ルーターと同じ感覚でリセットボタンを押すと、業務に必要な設定が失われるおそれがあります。
電話とインターネットを分けて考える
電話が使えていても、インターネット用のPPP接続や下流ルーターが正常とは限りません。反対に、ネットを直すための配線変更で電話まで止めないよう、動いている系統を把握してから作業する必要があります。
上流から順に確認する
ONU、ホームゲートウェイやオフィスゲートウェイ、管理ルーター、Wi-Fi、Hub、端末の順に、ランプと配線を追います。複数機器を一度に変更すると、どこで直ったか分からなくなります。
契約・認証も切り分けに含める
ランプや配線だけでなく、契約停止、認証情報、サービス提供側の障害や管理状態も確認対象です。契約先が分からない場合は、書類や請求元を探すところから始まることがあります。
応急復旧と正式修理を区別する
迂回経路で通信できても、管理機器を外した構成を恒久利用してよいとは限りません。セキュリティ、保守、VPN、固定IP、監視、機器保証などへ影響する可能性があるため、正式担当者へ配線図と作業内容を引き継ぎます。
今回の作業から分かったこと
- 「ネットが使えない」という同じ症状でも、回線、契約、認証、物理ポート、管理ルーター、Wi-Fiのどこが原因かは現地で順に確認する必要がある
- 電話が生きていることは重要な手がかりだが、ネット経路全体の正常を保証しない
- 管理ルーターの故障が疑われても、正式診断前は断定しない
- 応急復旧後は、Web閲覧だけでなくWi-Fi、Hub配下、NAS共有、電話への影響まで確認する
- 作業後の配線図は、保守担当者への引き継ぎと将来の再発対応に役立つ
WELLで対応できる範囲
WELLでは、インターネットが突然つながらなくなった、複数のルーターやHubがあり構成が分からない、契約先へ何を伝えればよいか分からない、といった場合に現地で状況を確認します。
対応できるのは、機器・ランプ・配線・接続設定の確認、原因箇所の切り分け、契約先やメーカーへ伝える情報の整理、可能な範囲での復旧作業です。契約事業者が管理する機器の正式診断や交換は、各保守窓口へ引き継ぐ場合があります。
事務所・個人宅のネット障害もご相談ください
事務所はもちろん、個人のお客様のご自宅でも、ルーターやHub、メッシュWi-Fi、NASなど複数の機器があり、「どこにつながっているのか分からない」「配線が複雑で自分では触れない」といったご相談に対応しています。
現在の配線や機器構成を確認しながら、原因箇所の切り分けや、可能な範囲での復旧作業を行います。
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